笑った頃は、緊張が少しとけたとき。
そろそろ本題に入ってもいいと思った。
「……陽さん、発作でたのは、いつ頃?」
陽さんは、表情を変えずに、
「…………最近…なんですけど、日にちは覚えてなくて…。
でも…一週間前ぐらいだったのは…確かです……」
「…そう。わかった。」
カルテに記入すると、首にかけていた聴診器を耳につける。
「…服、まくれる?」
季蛍だったら、ボタンを勝手に開けることや、
服の中に手を入れることだって、できる。
でも、陽さんは違う。
季蛍だって、診察を嫌がるけど、
夫婦だから。
遠慮はない。
だから、陽さんは、自分であげてくれるまで待った方がいいかもしれない。
無理矢理やったら、余計診察が嫌になるかもしれないから。
看護士は、人手が足りないため、
予定になかった診察の補助はできなかった。
だから看護士がいない。