コンコン
「どうぞ~」
俯く陽さんと、港。
港は、後ずさりしようとする陽さんを、中に入れる。
「蒼、あとは頼んだ」
そういって、港は診察室をでていった。
「陽さん、おはよう」
他愛のない会話から始まる。
「……おはようございます…」
緊張しているのか、怖いのか。
少し手が震えているのがわかる。
「…今日は、天気いいね」
立ち話みたいな会話。
だけど、ほどよい会話がちょうどいい。
陽さんは、少し顔をあげた。
「…そうですね、晴れで」
俺は、そんな様子を伺いながら、
何か話題を探す。
「気温もちょっと暖かいし…」
陽さんは、俺と目を合わせるまではいかないけど、顔をあげてくれた。
「洗濯物、よく乾きます」
陽さんが少し笑った。