診察室に入ると、椅子に座らせられた。
「服、まくって。心音だけでもとっときたい」
……バレる
発作出たこと…ばれちゃう………
そしたら、蒼にも伝わる。
無意識のうちに服をつかんで、まくれないようにしていた。
「……季蛍?」
聴診器を耳につけた高島先生は、不思議そうな顔をする。
でも私が聴診したくない理由をわかったみたいで
「季蛍、今は言わないから。あとで会ったら自分でいいな」
私はその言葉に安心し、服を少しまくる。
高島先生は聴診器をいれて、心音をきく。
「………
……薬飲んでないだろ?」
高島先生は聴診器をはずして、首にかける。
「………だって
飲めないじゃないですか…」
「……だからなんか食べてって言ったんじゃんよ」
笑いながら、高島先生は少し困った顔をする。
「すいません……食欲ないから…」
「…食べたくなったら食べろよ?」
「……はい」
朝も蒼、言ってたな…
食べないなら、仕事行くな。
…私、
心配かけないようにしようって、逃げてたけど…
朝から心配してくれてたね……
さっきだって…
何してんだろう…
私のやってることって…
逆効果…
余計に心配…させてんじゃん。