彼女は、こちらを向くと倒れている僕に手を差し出した。


ボディラインがはっきり判るような白いボディスーツを着ていて、改めてみると目のやり場に困るくらいだった。


ショートヘアの良く似合う綺麗な顔立ちの少女の手につかまると、起こされた。

『大丈夫ですか?マスター??』


立ってみると、背丈が自分と近かった。


『ありがとう・・・何か不思議な力を・・・』


少女は表情を変えずに、こちらを見た。


『私は、現在と呼ばれるこの時代より後の世界から来たAMZ―23695―RXです、貴男を守りに未来から派遣された時空管理局のエージェントです』


彼女は空中に、手のひらを向けると、淡い光が出て、空中に文字が浮かび上がり映像が流れた。

そこには、白衣を纏った初老の人物が映っていた。


『初めまして、2012年の椎名シキさん、私たちは2156年の時代より、超時空間通信をしております・・・つまり椎名さんの時代に合わせて、こちらからコンタクトを取っていると・・・説明がかなり複雑になるので・・・私たちの時代には現在、過去、未来という言葉はあまり意味を成さなくなっています、つまり、簡易ワームホール型のタイムフィールドを使い、あなたの時代まで・・遡って行けるようになりました・・ワームホール型というのは、未来へ行くには未来で時空を繋げる作業をしなければいけなくなるという・・まぁ別次元に繋がるトンネルだと思ってください・・』


僕はSF好きなので単語の端々はわかるが全てが判るわけでは無かった。


困惑しながら、わかる部分を整理して、頭を掻きながら答えた。


『未来人である、あなた達と僕は話しているって事ですよね・・ワームホールは入口、出口を繋げれば時空の歪みを使い、過去にも未来にもいける・・とあるSFに書いてあったよ・・まぁこの状態が夢や大ペテンでなく本当だったらが前提だけれどね』


『あはは・・・確かに、大ペテンかもしれませんね、別時代の人間と通信してるなんて、あなたの時代で話したら、あなたは精神病院行きは確定だからね・・でも、現にあなたの時代に不安定ではあるが、ワームホールの固定化に成功された人物がいるんですよ?でないと我々はあなたにこうして会えないわけなんで』