外に出ると、タザが物凄い勢いで駆け寄って来た。



「おい、ラザク、どうしよう!遂にこの日が来ちまった!」



興奮を隠し切れない様子で、ラザクの肩を掴んで揺さぶる。




「落ち着けタザ。


とりあえずローブのボタンを掛け違えてるぞ。」



ラザクに指摘され、タザはボタンに目をやると、慌てて外し始めた。




ラザクとタザは家が隣同士で、俗に言う幼馴染だ。



タザの見た目は、ラザクを含む他の国民と特徴そのものは変わらず、浅黒い肌に金髪で空色の瞳である。



ただ問題なのは、身長が190センチもある大男であり、さらには目つきが鋭いということだ。



そのせいで、タザは周りから避けられる傾向にある。



昔から他の子供より一回り大きく威圧的な外見であったタザは、近所に同じくらいの歳の子供が他にもいるが、一緒に遊んだことがあるのはラザクだけだった。




もっとも今のタザを見たら、怖がって避ける奴はいなくなりそうだけどな。



赤面しながらボタンを留め直しているタザを見て、ラザクは笑いそうになる。



「聖堂ってどっちだっけ?」



笑いを誤魔化すようにして、ラザクはタザに尋ねた。




ボタンを留め終えたタザは、国の中心部を指差す。



「城に隣接していると聞いた。


とりあえず城に向かって歩けば辿り着くはずだ。」




「適当すぎだろ。」




「何も知らないお前に言われたくない。」




ラザクとタザは互いに言い合いながら、聖堂に向かって歩き出した。