「じゃ、またねっ!!」
と、手を振って歩き出そうとした時。
「ちょい待ち。 少し話さない?」
「え?」
「シュウのこと、ちょっと話したいんだ」
YUKIの、こと……?
「まぁここじゃなんだから、駐車場行って車ん中で話そうぜ。
狭い車内で二人きりー。ふふふっ、楽しみだなー」
「……ちょっとフジヤマ。 変なこと考えてるなら私 帰るからね?」
「馬鹿、変なことなんか考えてねぇよ。 俺は元々変な人間なんだっつーの」
「……」
「だけどさ、シュウのことを話したいのは事実なんだ。 だから一緒に来てくれたら嬉しい」
……前半はすっごくアホだったけど、後半は真面目な顔してた。
だから、『シュウのことを話したいのは事実』
って言葉を、ちゃんと信じようと思った。
歩いて5分ほどの場所にある駐車場に置かれていた車の助手席に乗り込み、フジヤマを見つめる。
「ちょーっと移動するから、ベルトしてなー」
「えっ? な、ちょっ……移動するなんて聞いてないっ……!!」
「安全運転だから心配無用っ!!」
「ギャーッ!!」
……ジェットコースター、再び。
フジヤマの車には今度こそもう二度と乗らない……と心の底から誓った瞬間だった。



