……隣に居る相手がフジヤマじゃなくてYUKIだったらよかったのになぁ。
なんて思いながら、どんどん進んでいく。
「隣に居るのがお前じゃなくてユキだったらよかったのに」
……とボヤくフジヤマ。
フジヤマの言う『ユキ』というのは、当然ユキ姉のこと。
そうだよね……フジヤマだってユキ姉と来たいよね……。
でも、こんなに揉みくちゃにされる場所にユキ姉を連れてくるのは、多分無理……。
仕方ないとわかっていても出てしまった言葉なんだと思う。
「ね、フジヤマ。 私をユキ姉だと思って手ぇ繋いでればいいんじゃない?」
「それは無理。 だってお前デカいし」
「ちょ、気にしてることをサラッと言わないでよっ」
もー……言いながらニヤニヤ笑ってるし。
この人も絶対、YUKIに負けず劣らずの性悪だ。
「ほらほら、次だぞー」
「あっ、うんっ!!」
いつの間にかずいぶん進んでいたらしい。
他の人と同じようにお賽銭を入れて、手を合わせる。
……なんか、後ろからの『早くしろ』な威圧感がハンパないんですけど……。
うぅ……何を祈るつもりで来たんだっけ……。
「咲良ー、行くぞー?」
「ちょ、待って……!!」
……結局、『今年も元気に過ごせますように』という当たり前のことを祈り、参拝終了。
おみくじを引きに行く途中のトイレでイトちゃんたちと再会し、今度こそ4人で移動することに。
混雑する中だったから、イトちゃんと宇田川さんも自然と手を繋いでいた。
……ただの幼なじみが手を繋ぐなんてことはないと思うから、やっぱり二人はいい雰囲気だ。
いいなぁ。
私もYUKIとそんな風になれたらいいんだけど、な……。
……って、ないない。
私たちはいい友達だもんね。 それ以上なんか、望んじゃダメっ。



