「ウタから沢口さんのこと聞いてね、すっごく面白そうな人っ!! ってことで、この前 連絡先の交換をしたの。
でも沢口さん、結婚してたんですかー? それならそうと、ウタってば教えてくれたらいいのにー」
「同じ会社の人のことをペラペラとは喋れないだろう?」
「とか言いながら、色々なこと私に話してたけどねっ」
「あはは、確かにー」
すっごく楽しそうに笑うイトちゃんと宇田川さん。
『気になる人』って言ってたけど、正直なところ『もう付き合ってるんじゃないか?』と思ってしまう。
まぁ、『幼なじみだから』って言われたらそれまでかもしれないけど……。
「あ、とりあえず移動しましょうかー。 初詣に来たのにずっとここで喋ってるなんて、勿体ないですからっ」
にこやかな宇田川さんに促され、私たちは神社へと歩き出した。
前を歩くイトちゃんと宇田川さんを見つめながら、隣に居るフジヤマに声をかける。
「フジヤマ。 イトちゃんと知り合いなら知り合いって言ってよー」
「しょうがねぇじゃん、同じ学校だなんて知らなかったんだから。
つーかよ、同じ学校 = イトっちと仲がいい とは限らないだろ?」
「そうだけどさー、ほんとビックリしたんだからっ」
「俺だって驚いたっつーに。 女子高生とお近づきになろうと思ったらお前なんだもん、ガッカリしたわー」
……『ガッカリした』ってヒドくない? そっちこそ、どんだけ私がイヤなんだっ。
「……ユキ姉に言いつけるよ?」
「んなことしたらあとでヒドい目見るぞ?」
「ちょ、それって脅迫っ」
「どっちもどっちだろー?」
「全然違うしっ」
「つーかウタとイトっちは?」
……え、あれっ?
前を歩いてたはずのイトちゃんたちが居なくなってる。



