「大丈夫?」

「……全然、ダメ……」

「そっか。 大丈夫そうでよかったよ」




……ちょっとYUKIさん。 いや雪村さん。

『全然ダメ』って言ってるのに、なんで笑いながら『大丈夫そうでよかった』って言うんですか。


ほんとにね、死ぬかと思ったんだから……。




「帰りも俺が送るから、安心してなー?」




ミラー越しにけらけら笑うお義兄さん。

その顔を見つめながら、小さく息を吐き出した。




「……沢口さんの運転する車には、もう二度と乗りたくないです」

「おう、サンキュー!! 最上級の誉め言葉だぜい」

「なんでそこで『サンキュー』って言うんですかぁ……」

「あははっ、俺っぽいじゃん? なぁ?」

「そんなの、全然知りませんからっ」




初対面なのに沢口さんはガンガン言ってくるから、私も負けじと言葉を放っていた。

そんな私たちを見るYUKIが、隣でクスッと笑う。




「さすがフジヤマ」

「さすが俺っ!! だろ?」

「うん」




……いやいや、『うん』じゃなくてさ。

もうちょっとこう……あぁもう、なんか面倒臭くなってきた……。