とても穏やかで落ち着いた表情は、私の1歳上だとは思えないような大人っぽいものだった。
「現実離れしてる話だなって思うだろ? でも現実なんだよ。
サクラとユージもそう。 チャットで知り合って、オフ会で顔合わせして、仲良くなって、今は付き合ってる。
不思議な出会い方だったけれど、それでも俺たちは一緒に居る。 かけがえのない、最高の仲間なんだ」
……そっか。
桜子さんもユージさんも、義理のお兄さんも。
みんなチャットで知り合った人だけど、それでもYUKIはその人たちのことをとても大切に想っているんだ。
……そんな出会い方もあるんだね。
とても不思議な出会い方だけど、それでもみんな、大切な人なんだ。
「この前の日曜日は久しぶりにみんなで集まって、ユキ姉の病院に行ったんだ。
で、そのあと俺の家で時間潰して、新幹線に乗って帰るサクラとユージを送るために電車に乗った。
その時に俺はキミにキスされたってわけ」
「あっ……いや、あれはっ……!!」
クスッと笑うYUKIはさっきまでの切ない顔が一変、あの憎たらしい笑みを浮かべている。
……もぉっ、なんでこう、一気に話の内容が変わるのかなぁっ……。
「あ、あれは急ブレーキのせいだからねっ……!!」
あの時のことを思い出しながら顔を真っ赤にする私に、YUKIはやっぱりクスクス笑うだけ。
うぅ……なんでそう、普通の顔して居られるのかなぁ……。
キスだよ? キスっ!!
ほっぺにチューとかじゃなくて、唇と唇だよっ……!?
ハプニングの末のキスだったとしても、さ……私のファーストキスはそこで消失しちゃったんだよ?
なのにYUKIは、普通の顔で笑ってるだけなんだもんなぁ……。



