「大学とかじゃなくて、就職なんだ?」
「うん」
「……なんか、YUKIは進学していっぱい勉強するようなイメージだったから、意外な感じ」
「よく言われる」
クスクスと笑うYUKIは、横になってる私に手を伸ばして、そっと優しく頭を撫でた。
……YUKIは、とても寂しそうな顔をしていた。 電車やバスの時に見た、あの寂しそうな顔……。
そんな顔をするYUKIに、私はどう声をかければいいかわからず……そのまま静かに、YUKIを見つめ続けた。
「あのね、咲良」
「ん……?」
「俺には病気の姉が居るんだ」
「……え?」
それは、突然だった。 本当に本当に、突然の言葉。
予想なんかしていなかったし、出来るわけもない。
……病気の姉。
その言葉に、私はただただ固まるしかなかった。
「姉の名前は由紀子(ユキコ)って言ってね、ユキ姉は心臓の病気で、今も入院してるんだ。
悪化することはあっても、治ることは絶対にない」
「……」
「で、この前チラッと話した俺の義理の兄っていうのが、ユキ姉の旦那。
沢口 晋也(サワグチ シンヤ)っていうんだけど……彼とユキ姉はね、チャットで知り合ったんだ」



