いつものように改札を抜けて、いつものように学校へ向かって歩く。
私の隣には雪村さん……ではなく、YUKIが居る。
「そういえば昨日、結局雑談しかしなかったね」
「え?」
「ほら、サクラたちのこと何も言ってないだろ?」
「あー……そう言われれば……」
チャットで知り合った。ということは聞いた。
でもそのあとはお互いの呼び名とか『敬語禁止』とか、学校のことを話すだけ。
YUKIが『大切な人』と言った人たちのことは、全然何も聞いていなかった。
「今日もチャットする?」
「……いや、もう夜更かしは……」
「だよね、そんな顔してる」
私を見て笑うYUKIは、本当に爽やか。
同じ時間を過ごしてたはずなのに、なんでこう、全然違うんだろう……。
「……羨ましい……ていうか、カッコイイ……」
「ん? 何?」
「あ、いやっ、なんでもないっ……」
慌ててパタパタと手を振る私に、YUKIは不思議そうに首を傾げている。
「どした?」
「全然何もっ!! 気にしなくてオッケー!!」
「そう?」
「YES!!」
妙なテンションで返す私に、YUKIはやっぱり首を傾げてる。
でも『まぁ大丈夫ならいいけど』と言ったあとは、前を向いて歩き始めた。
フゥ……バレなくてよかった。
『羨ましい』はともかく、なんで私『カッコイイ』なんて言ってしまったんだ。
自分でも全然意味がわからない。
寝不足って恐ろしい……。
「で、結局どうする?」
「……え?」
「サクラたちのこと、聞きたいんだろ?」



