……雪村さんが女の子口調なのを想像するとちょっと気持ち悪いけど、でも『大切な人』との会話だから、ネカマしてたとしても笑っていられるんだ。
「……なんか、いいなぁ……」
画面をぼんやりと見つめながら小さく言う。
私はチャットで仲良くなった人とリアルで会ったことはないし、雪村さんみたいに『大切な人』と言えるような人も居ない。
ただただ、毎日くだらない話をして笑ってただけ。
それでいいと思っていた。
……でも、雪村さんのことを見ていたら……凄く羨ましいって感じてしまった。
咲良>なんか、素敵ですね
YUKI>ネカマしてる俺が?
咲良>全然違います!!
咲良>大切な人との時間を楽しむことが出来てる。 そういうのが素敵だなって思ったんです
私にもそんな風に思える人が居て、雪村さんみたいにお話出来たらいいのにな……。
なんて思いながら、小さく息を吐き出した。
YUKI>咲良
ふと、雪村さんが私を呼んだ。
YUKI>敬語禁止
……って、え?
敬語禁止、って……私が一生懸命打った文字は完全スルー?



