「普通は、あり得ないことだろ?」
「……な、何がですか……?」
「出会ったばかりの子に『大切な人』の話なんか、普通はしない。
なのに俺は当たり前のようにみんなのことを話してた。
多分、キミはサクラに似てるから普通に話しちゃったんだよ」
……私が、サクラさんに似ている?
「あのー……」
「ん?」
「……私とサクラさん、全然似てないと思いますよ?
だってほら、私はデカいけど、サクラさんはちっちゃくて可愛かったし」
「見た目じゃなくて中身の話だよ。 あぁあと、名前も似てるね」
「……名前は、似てるって言うか全く同じじゃないですか」
正直紛らわしい。 と思うけど、名前が同じなのは仕方ない。
だって私は『咲良』という名前で17年間過ごしてきたし、サクラさんだって同じ。
こればっかりはどうしようもない。
と思っていたら、雪村さんはクスッと笑ってから首を横に振った。
「サクラの本名は桜子(サクラコ)だから、全く同じではないよ」
「え? そうなんですか?」
サクラと呼んでいたから、てっきり私と同じ名前だと思っていたら。
どうやら彼女の名前は、桜子というらしい。



