「あの子は俺の大切な人なんだ」
「大切な……って、二人で出かけたりするような仲なら、それはもう恋人みたいなものじゃ──」
「いや、二人じゃなかったから」
「……へ?」
……二人じゃ、なかった……?
え、でも……私あのあと雪村さんたちのこと、ボーッと見てたけど……他に喋ってるような人、居なかったよね……?
「そばに居たのはあの子だけだけど、もう少し離れたところにあと二人居たんだよ」
「え、そうだったんですか?」
「うん。 一人は俺の義理の兄と、もう一人はサクラの彼氏」
「……なんか、微妙な組み合わせですね」
雪村さんとサクラさんと、雪村さんの義理のお兄さんと、サクラさんの彼氏さん……って、微妙って言うか、かなり変な組み合わせだ。
雪村さん自身も『確かに微妙だね』と笑っている。
「でもみんな、大切な人なんだ」
そう言った雪村さんは、とても優しい顔をしていた。
サクラさんたちのことを想い、穏やかな笑みを浮かべている。
それを見たら、『あぁ、本当に大切なんだ』と納得せざるを得なかった。
「ねぇ雪村さん。 その人たちのこと、もっと色々教えてくれませんか?」
「え?」
「え?」
……うわっ。
私ってば、なんで急にそんなことを……!?



