………

……




その日の放課後。

私はいつものように一人で学校を出て、一人で電車が来るのをホームで待っていた。




「あ」




……という声が聞こえてくるまでは、いつもと変わらない午後のひとときだった。




「……雪村、先輩……」

「こんにちは」

「……どーも」




学校の中では全く会わずに過ごしていたのに、学校を出たところで会うとは……。




「いつもこの時間の電車なんだ?」

「えぇ、まぁ」

「そっか。 全然気付かなかったよ」


「……普段電車は利用しないって言ってませんでした?」

「言ったね。 でも使う時は、かなり使うから」

「……そうなんですか」




当たり前のように隣に並ぶ雪村さん。

あと数分で電車が到着するけど、それまでの間、ずっと隣に居る気だろうか……。




「……あのー」

「ん?」

「……怪我の話って、本当のことなんですか?」




ふと、朝のことを聞いてみる。

イトちゃんはここには居ないし、同じクラスの子も居ない。

この人と話していても噂になることはないだろう。と思ったから聞いてみた。