そう言って、バシバシッとシュウの体を叩きまくる。
でもシュウは『理不尽だなぁ』と言いながら、凄く楽しそうに笑ってる。
「俺を引っ張り続けるんじゃなかった?」
「……もう引っ張らないもんっ」
「じゃあ、俺が咲良を引っ張り続けてあげる」
「わっ……!?」
バシバシッと叩いてた手が掴まれて、そのまま、シュウに引っ張られた。
……当然、私の体はシュウの腕の中……。
「俺が咲良の手を引いて前へ進むから」
「シュウ……」
「だから、咲良は俺の手を離さないで」
「……うん」
ドキ、ドキ、ドキ……。
シュウの胸の音を聞きながら、ゆっくりと目を閉じる。
「……シュウは、凄くあったかいね」
「俺は、咲良の方があったかいと思うけど?」
「ううん、シュウの方があったかいよ。 本当に、あったかい」
「ん……咲良が言うなら、それでいい」
お互いの体を抱き締めながら、私たちはクスクスと笑った。
「金曜の夜、家まで迎えに行くよ」
「うん。 お母さんたちに話しておくね」
「今度は俺のベッド、朝まで使っていいから」
「じゃあシュウは、客間の布団?」
「……いや、まぁ……いいけどね」
どこか不満そうなシュウの声を聞きながら、私はまたクスッと笑う。
「ほんと、シュウは可愛いね」
「可愛くないって」
「そうやって怒ってるのが可愛いんだよっ」
……素直な気持ちを私に見せてくれている。
それが凄く嬉しいんだ。
「桜子ちゃんと会った時、『やっぱり好きなのは桜子だ』なんて言わないでね?」
「あー……多分 言わない」
「多分かいっ」
そんなことを言いながら、私たちはいつまでもいつまでも笑い合っていた。



