「な、なんで急にお嫁さんになるんですかっ!! 私はただの女子高生ですよっ!?」
「じゃあ、将来の嫁さんって言っとこうか」
「えぇっ……!? そ、そんな突然っ……またいつもの『冗談だよ?』じゃなく、本気でっ……!?」
「……それって俺の真似? 俺ってそんなにイヤなキャラクターだっただろうか」
……口元に手をやって、何をそんな真剣に悩んでるんですかっ!!
ていうか、『お嫁さん』とか平気で言っちゃえるのが信じられないっ……。
「あ、あのですね、シュウ。 いえ秀一さんっ」
「はい?」
「こ、言葉の意味をわかって言ってますか? お嫁さんってのはつまり、あなたの妻ですよ? 奥さんですよ? 英語で言うならワイフですよ?」
「家内、女房なんて言い方もあるね。 ……へぇ、意識すると意外と呼び方が多いんだな」
「……そんな楽しそうに思考を巡らせないでくださいよぉ……」
うぅ……どうしてそんな平気そうな顔してるのかなぁ……。
言葉の意味がわかってるのなら、もっとこう……ねぇ……?
「咲良は、イヤ?」
「え……」
「俺のお嫁さん」
ドキッ……。
私の髪を優しく撫でるシュウが、どこか不安そうに私を見ている。
……そんな顔、ズルいですっ。
「……シュウの馬鹿っ。 イヤなわけないでしょっ」
「そっか、よかった」
「……あぁもうっ、その笑顔反則っ!! 可愛すぎっ!! そんな顔するなんてズルいよっ!!」
「可愛……くはないぞ?」
「そんな風に言いながら口を尖らせてるところとか、全部可愛いからっ!!
あぁもう、やっぱりシュウらしくないっ!! シュウは1歩引いたところからクールに見つめてるくらいがちょうどいいっ!! これ以上 私に近づくなぁっ!!」



