フジヤマは『らしくない顔だなー』って言ってたけど、私は『YUKIらしい』って思う。
今までは1歩引いたところに居るYUKIしか知らなかったけれど、今はちゃんと隣に居てくれる。
だからこれが本当のYUKI。
YUKIらしい顔なんだ。
「YUKIは、この方がYUKIらしくて素敵だと思うよ?」
「……また、名前……」
「あっ、ごめん!! えっとね、秀一さんは、この方が秀一さんらしくて……」
「繰り返して言う必要はないから」
と、一刀両断されてしまうものの。
その顔は穏やかで、私を優しく包み込んでくれるようなものだった。
「呼びにくかったら『シュウ』でいいよ? みんなそう呼ぶし、俺、さん付けされるほど偉くもないしね」
「……ありがとね、シュウ」
「ん」
私の髪を優しく撫でるシュウと、恥ずかしくて顔が赤くなる私。
……そのそばでフジヤマがニヤニヤ笑ってるのに気付いた時、私とシュウは、フジヤマに再び蹴りをくらわせていた。