チャット恋愛注意報!!2 ~メガネ男子とハプニングkiss !?~ (旧)



名前……の、呼び方……。




「俺のことはいまだに『YUKI』で、宇田川のことは会ったその日から『健二さん』だろ?」

「そ、それはっ……健二さんは宇田川さんの弟だから、その……名字で呼んだら紛らわしいんじゃないかと思って……」

「俺も、ユキと呼ばれてる人の弟なわけですが?」

「うっ……」




真っ直ぐに私を見てくる瞳が、なんか怖い……。




「あの……YU…ゆ、雪村さん……」

「それは名字」

「うぅ……」




……YUKIのことを、名前で呼ぶ。


シュウ。

秀一さん。


たったそれだけのことが、なかなか言えない……。






「ハァ……」




無言が続く中で本鈴が鳴り、それとほとんど同時にYUKIがため息をついた。





「……馬鹿みたいだな、俺。 ていうか馬鹿だ」




困ったように髪をかき上げたYUKIは、また空を見て微笑んだ。






「名前で呼ぶとか呼ばないとか、そんなことにムカついてるなんて、小さな子供みたいだ」

「YUKI……」

「顔、つねってゴメン。 俺はもう大丈夫」




とても寂しそうな、悲しそうな笑顔。

……そのあとYUKIは、小さく息を吐き出してから私を見た。


その顔は、普段と何も変わらないものだった。



苛立ったり、悲しそうだったり、寂しそうだったり……そう言ったものが消えた、いつものYUKI。

……作られた、笑顔……。