壁に寄りかかったYUKIは、そのまま滑るように地面に座った。
制服が汚れてしまうのも気にせずに座って、どこかぼんやりと景色を見つめている。
私には、少しも視線を向けない。
「……フジヤマと初詣に行った話を聞いて、すげー羨ましかった。
『なんで俺じゃないんだ』って思ったし、楽しそうに咲良のことを話すフジヤマにムカついた。
表情は崩さないように気をつけてたけど、内心は『咲良と一緒だったなら連絡しろよ』ってイライラしてたね。
咲良に対しても『連絡してよ』って思ってた」
「え、でも……連絡先、知らないから……」
……私とYUKIは連絡先の交換をしてないから、連絡のしようがない……よね……?
なのに『連絡してよ』って思われても……。
「……まだ、気付いてなかったのか」
「え?」
「いや、なんでもない。 ……で、話を戻すけど」
「あ、うん……」
『気付いてなかったのか』って、どういう意味だろう?
気になるけど……YUKIはため息をついたあと、その話とは違う別の話を始めた。
「……昨日からずっとムカついてるって言っただろう?」
「ん……」
「それ、宇田川と仲良くしてる咲良を見てムカついてるんだよ」



