「最初はね、『いい子だな』って思ってただけだった。
俺の何気ない冗談にあたふたしたり、顔を赤くて怒ったり……そういうのを見てると凄く面白かったし、楽しい気持ちになってた。
そうやって過ごしてるうちに、俺は咲良に桜子を重ねるようになっていった。
桜子がそばに居たらこんな感じかな?って思いながら生活してたんだよ」
「……」
「俺は桜子のことが好きだったから……だからそばに居る咲良を桜子に見立てて、都合よく利用して、一人の時間を埋めていたんだ」
……自分の気持ちを隠すことなく話していくYUKI。
私は、桜子ちゃんの代わり。
代わりでしかなかったんだ。 と、思い知らされる。
『大丈夫』って言ったけれど、やっぱり胸が痛くなる。
『お前はアイツの代わりなんだ』って言われて、傷つかない人なんか居ないよね……。
「……クリスマスの時も、俺は咲良に桜子を重ねてた」
「……そっか」
……一緒に過ごしていた時のYUKIは、私じゃなくて桜子ちゃんを想っていたんだ……。
あちこち見て回って、二人で笑ってた時間は全部……『私とYUKI』じゃなくて、『桜子ちゃんとYUKI』だったんだね……。
──『嫌いだったら声なんかかけないよ』
──『咲良のこと、嫌いじゃないよ』
……あの時の言葉は、私にじゃなく、私に重ねた桜子ちゃんに言ったものだったんだ。



