お互いの下駄箱へと向かい、ようやく別れることが出来た。
ハァ……なんか、朝から疲れた……。
「さーくーらっ!! おはよー」
「あー、イトちゃんおはよー」
靴を履き替えてる時に、同じクラスの糸井 美奈(イトイ ミナ)ちゃん──通称イトちゃんが声をかけてきた。
いつも明るく元気で頼もしい、一番の友達だ。
「ちょっとちょっとー、いつの間に彼氏出来てたのー」
「へ?」
「さっき男子と一緒に歩いてたじゃん? あれ誰よー?」
……あ。
メガネの人と歩いてるところ、見られてたんだ……。
「別に、彼氏とかそういうのじゃないよ」
「えー? じゃあどういう関係?」
「どう、って……」
昨日電車の中で、私がキスしちゃった人だよ。……なんて言えるわけがないっ!!
「えっと……まぁ、ちょっとした知り合いで……」
「なんか、怪しいなー?」
「別に、ほんと何もないってばっ」
「へぇ?」
一生懸命に否定するけど、イトちゃんはニヤニヤしたまま私を見てる。
そして、そのあと……、
「あのー、すみませーん。 この子とどういう関係ですか?」
……靴を履き替えて教室に向かおうとしていたメガネの人を発見したイトちゃんは、迷うことなく声をかけた。



