「……」
無言のまま、ずんずん近づいてきたYUKI。
私の目の前に立った直後──、
「ちょっ……」
──……ほっぺたを掴まれて、ギューっと引っ張られた。
い、痛いです……。
「YUKI、ちょっと……」
「……」
「ねぇ、ってば……」
昨日は満面の笑みだったけれど、今は無表情。
というか、口を尖らせて怒ってるような……YUKIにしては珍しい表情だ。
ううん、こういう顔は初めて見たかも……。
「すっげームカつく」
「え……」
「昨日からずっと、ずっとずっとムカついてる」
いったい何に……と聞こうと思ったけれど、ほっぺたが痛すぎて言葉が出ない……。
ほんと、これ以上は無理っ……。
と思ったところで、ようやくYUKIが手を離してくれた。
うぅ……引きちぎれるかと思った……。 って、そんなことよりっ。
「む、ムカついてるって、何に……?」
恐る恐る、だけどハッキリと問う。
そんな私に、YUKIは眉を寄せて深い深いため息をついて見せた。
「こういうのが、もう全部ムカつくんだって」
「……よく、わからないよ……」
「だから。 何もわかってないからムカつくんだよ」
「……何も言ってくれないのにわかるわけないじゃないっ」
「言ったってわからないだろ」
「そうかもしれないけど、言われなきゃもっとわからないよっ!!」
……なんでこんなところでYUKIと言い合いをしてるんだ。
と、そう思いながらも、言葉を止めることは出来なかった。



