鼻をグズッと吸った私に、健二さんは『あー……』と小さな声を漏らした。
そして直後に、苦笑気味に笑う。
「……そう来るのか、アイツは」
そう言いながら頭を掻き、そのあとに私の髪を撫でた。
「俺たちが仲良くしてるところを見て嫉妬してる感じだったから、二人きりになったら自分の気持ちを素直に言うかと思ったけど……雪村はここでも1歩引いちゃったんだね」
クスクスと笑う健二さんは、私の髪を撫でたまま言葉を繋げた。
「じゃあ、せっかくだから付き合お」
「え……」
「雪村が俺たちの幸せを願ってるなら、その期待に応えてメチャクチャ幸せになろーよ、ね?」
屈託のない笑顔の健二さんが、そっと私を抱き締める。
「俺はあさひちゃんを泣かせないよ?」
と、耳元で優しく聞こえた。
ドキ、ドキ、ドキ……。
心臓の動きが、段々と速くなっていく。
私……このまま健二さんと過ごしていけば、幸せになれるのかな……。



