………
……
…
電車を降りたあと、健二さんは『用事があるからー』ということで走って行ってしまった。
……で、YUKIと二人で通学路を進んでるわけだけど……、
「……」
「……」
……お互いに何も言わずに、学校へと向かって歩いてるだけ。
うぅ……電車の中での妙な雰囲気のせいだー……。
健二さんが私たちのところに来なければ、私とYUKIはいつもみたいに笑って話して、こうやって歩いてる時だって、笑っていたはずなのに……。
「あのさ、咲良」
「ふぁいッ……!?」
うわ。
突然の呼びかけに、声が裏返ってしまった……。
だけどYUKIは、表情を変えることなく言葉を続けた。
「二人は付き合ってるの?」
「……へっ?」
……付き合ってる?
いや、あの……誰と誰が、です……?
「宇田川とずいぶん親しげだからさ、意気投合して付き合いだしたのかなと思って」
「……えぇ!? 私と健二さんがっ……!? そ、そんなのあり得ないよっ!!
だいたい、健二さんと初めて話したのは昨日だしっ!! そりゃあ健二さんは、前から私のことは知ってたみたいだけどっ……!!」
「いつも同じ車両だもんね」
「なっ、えっ……どうしてそれをっ……」
「咲良と一緒に電車に乗ってた時、宇田川が同じ車両に居るのを見てたから」
……ユキ姉の入院する病院に行くために、YUKIは電車に乗ってた時期がある。
その時は私と一緒に乗ることが多かったから……だから健二さんが同じ車両に居ることを、YUKIは知ってたんだ……。
YUKIと健二さんが電車の中で話すことはなかったから、私は何も知らなかったけれど……それでも二人は、お互いの存在に気付いていたんだ……。
「宇田川はいい奴だから、大丈夫だと思う」
「……えっ?」



