『アイツはいつも、1歩引いたところから全体を見てる奴だろ?
自分の気持ちとか表情を隠して、周りに合わせて笑顔を作ってる』
「……」
『でもね、あさひちゃんならアイツの全部を引き出してくれるんじゃないかって思うんだ。
だからこそ二人をくっつけたい。 俺は、雪村の笑った顔……自然と出た笑顔がすげー好きなんだ』
……私ならYUKIの全部を引き出せる……?
私、が……?
『……とにかく俺は、あさひちゃんと雪村をくっつけるために動くから』
「え……あ、ちょっ……」
『ということで、また明日っ!!』
「健二さんっ……!?」
……電話、切れちゃった。
「私が、YUKIの全部を……」
……確かにYUKIは、いつも1歩引いたところに居る感じがする。
クリスマスイブの時も、常に家族を後ろから見ていた気がする。
……最初の頃だってそう。
ユキ姉のこととか、まだ何も知らなかった頃……同じ電車に乗っていた時に、私は思った。
『全部が全部 作り物のよう』
……YUKIは、あの時の私が思った通りの人だったんだ。
周りに合わせて笑顔を作って、言葉を返して、また笑う。
……だけど一人の時は、凄く寂しそうな顔をしていた。
YUKIはずっと、周りに合わせて生きてきたのかな……。
これからもずっと、YUKIはずっとそうやって生きていくのかな……?
──『あさひちゃんならアイツの全部を引き出してくれるんじゃないかって思うんだ』
……私なら、YUKIを変えることが出来る……?



