なんで急に、私の連絡先なんか……。
「お礼に、一緒にご飯でもと思って」
「お礼?」
「保健室に連れてきてもらったお礼です」
「……いやいやいやっ。そんな全然っ、お礼されるようなことなんてしてないですからっ!!」
健二さんはイトちゃんの幼なじみだから、私は彼を保健室に連れてきた。
もしも他の人が同じような感じで怪我をしたとしても、私は何もせずに見てるだけだと思う。
それこそ、あの場所に居た他の生徒たちと同じように、だ。
「でも、今も一緒に居てくれてるし」
「そ、それは私以外 誰も居ないから仕方なくですよっ!!
先生やイトちゃんが戻ってきたら、私はさっさと教室に行きますからっ……!!」
「そう? でも、お礼したいなぁ」
「全然気にしなくてオッケーですからっ!!」
と、手をパタパタ横に振った時、イトちゃんが戻ってきた。
「健ちゃん、お母さん怒ってたよ? 『またやったのか』って」
「『生きてるから心配ご無用』って言っといて」
「もう電話切っちゃったよ。 ていうか自分で言いなさいっ!!
……って、もう戻るの? 先生来るまで待ってたら?」
「血ぃ止まったから大丈夫」
使用したティッシュをゴミ箱に投げ捨て、健二さんは歩き出す。
その時、彼は私をチラリと私を見て微笑んだ。
「色々アリガト」
「あっ……いえ、全然っ」
「じゃあまたー」
そう言って、眠たそうにあくびしながら健二さんは去っていった。



