「ちょっと健ちゃん、大丈夫っ!? 血ぃ出てるじゃんっ!!」
騒然とする生徒たちと、慌ててティッシュを出して彼の鼻を押さえるイトちゃん。
だけど当の本人は相変わらずの眠たそうな顔で『大丈夫、大丈夫』と繰り返している。
……なんか、その『大丈夫』って言ってるのが、逆に大丈夫じゃない感じがする……。
「イトちゃん、保健室連れて行こうっ!!」
「うんっ!!」
フラフラと歩き出そうとしていた健二さんを連れ、私とイトちゃんは保健室へと向かう。
「間宮先生っ!!」
「あー? なんだ、またサボりか?」
「違いますからっ!! 今日はこっちの人ですっ!!」
健二さんに負けず劣らずで眠たそうな顔の間宮先生。
ベッドからノロノロとやってきて、目を擦りながら健二さんの顔を見る。
「そのままティッシュで鼻押さえてりゃ大丈夫だろ。 ったく、まーたボケーッと歩いてたんだろ?」
「えっ……先生、健二さんのこと知ってるんですかっ!?」
「おう、歩きながら寝てぶつかって血を出す、校内じゃ有名な男だ」
……なんと。
宇田川さんがそんなに有名な人だったとはっ。



