「あ、健ちゃん。 おはよー」
「おー」
廊下を歩く男子生徒に声をかけるイトちゃん。
その人は凄く眠そうな顔でこちらを見て、ひらひらと手を振ってから歩き出した。
「ねぇイトちゃん、今のってもしかして宇田川さんの弟の?」
「うん、あれが宇田川 健二っ!! 3年生だからもうすぐ卒業なんだー」
「そうなんだぁ」
あの人が、宇田川さんの弟さん。
うん、言われると目元とかそっくりだったかも。
メチャクチャ眠たそうだったけど、いつもあんな感じなんだろうか?
と、そんなことを思いながら彼の姿を目で追っていたら……、
ゴンッ
……うわ。
柱に激突した……。



