「証拠がないことが証拠でございます」
レヴァノンが中央に進み出て話し出した。
「オズヴェルド様が召喚したという証拠がないことが何よりの証拠」
「隠蔽した可能性があるだろう?」
クレア王妃は追求の手を緩めない。
「これは内密のようで周知の事実だったことですが、オズヴェルド様はそもそも側室を取るつもりはありませんでした」
たしかにそうだ、という貴族たちの声が聞こえる。
「それは、御自分に合う、たった一人の女性を愛したいという考えからです。オズヴェルド様はまだそのような女性に出逢っておらず、正室も側室もいませんでした」
やっぱりオズは側室を取りたくなかったんだ・・・。
「ですから、異世界から召喚した娘がどんな人間かもわからないのに、わざわざリスクを背負って召喚したりはしないでしょう。仮にオズヴェルド様が召喚したのなら、すぐに正室になさるでしょうし」
レヴァノンの反論は最もだ。流石、頭脳派なだけある。
「では何故、その娘を側室にしたのだ? そのような考えを持っているのならば、美しさに魅入られただけで側室にはしないだろう」
クレア王妃は、なかなか手強い相手のようだ。
期間限定の側室、だなんて言えるわけがないし。
「ユノ様は」
「保護の意味での側室でもある」
レヴァノンの言葉を遮って、オズヴェルドは言った。
「彼女は見知らぬ世界へ、いきなり連れてこられたのだ。誰に連れてこられたかもわからない。利用されるかもしれない。そんな彼女をほっておけないでしょう?」
「それならばオズヴェルド。先程の寵妃という言葉は偽りか?」
「いいえ。一緒に過ごすうちに、深まるものがありました」
明確に何が深まったのかは言わないオズヴェルド。
「・・・わかった。お前の側室として認めよう」
クレア王妃の言葉にほっとした。
「それではパーティーを始める」
ゆのが席に着く前に開始宣言がなされたため、ゆのはあっという間に人に飲み込まれてしまった。
