「こちらの扉からのご入場となります」


オルフェはゆのを大きな扉の前に案内した。


「私はここまでの案内となっております。あとはお名前を呼ばれたら入場してください」


ユノ様は若干不安げのように見えた。


「・・・クレア王妃様にお会いすることになると思いますが、きっとオズヴェルド様がお守りになってくださるので大丈夫ですよ」

「・・・うん」


私の言葉で少しは不安が消えただろうか・・・?

ずっと見守ることしかできない自分が少し歯痒かった。


「失礼します」


オズヴェルド様が守ってくださる。

そう思ってゆのから離れた。








扉は厚く、中の様子は全くわからない。

名前なんて呼ばれても聞こえないんじゃ・・・?


「ユノ様?」


暗い廊下から誰かが声をかけてくる。


「誰?」

「私でございます」


月夜に照らされて現れたのは、レヴァノンだった。


「レヴァノン!」

「ユノ様・・・」


はっきりゆのの姿を見たレヴァノンは、目を見開いたまま黙ってしまった。


「やっぱり・・・変、だよね・・・? 着替えた方がいいかな?」

「・・・いえ、その必要はございません。しかし・・・」

「しかし?」


オズヴェルド様が怒るかもしれないとレヴァノンは思った。

ユノ様は元々綺麗な方だ。

しかし、着飾ったらこんなにも綺麗になるなんて・・・。


レヴァノンの目から見ても、ゆのの仕上がりは満足できるものであった。

オズヴェルドの恋心を止めたいレヴァノンとしては、ますますその恋心を加速させそうなゆのの格好は好ましくない。

しかし、今日はゆのにとって初めてのパーティー。

オズヴェルドの側室として恥ずかしくないようにする、という点では満点だった。