「っ! ・・・とてもお似合いです!」
部屋の扉を開けると、いつもより大きな声でオルフェが話しかけてきた。珍しく顔が少し赤いようだ。
「ありがとう、オルフェ。・・・貴方、熱があるんじゃないの? ちょっと顔が赤い」
おでこを近付けて熱をはかろうとすると、避けられてしまった。
「私なら大丈夫ですから。急ぎましょう、皆様が待ち詫びていらっしゃいます」
いつもよりやや急ぎ足で案内しながら、オルフェは考えていた。
今日のユノ様の破壊力は抜群だ。
このドレスを用意したのは仕立て屋だが、怒られやしないだろうか・・・?
薄めのピンクのドレスは身体のラインが丸分かりで、保護欲が掻き立てられる。首周りや腕、背中が空いていて、白い肌が眩しい。
漆黒の髪はいつものようにポニーテールだが、ピンクサファイアの髪飾りがとても栄えている・・・。
これは貴族どもがほっとかないだろう。
初めてのパーティーなのに、オズヴェルド様の側室としても、異世界の人間としても注目されてしまうというのに・・・。
オルフェが担当しているのは、扉の前までゆのを連れていくこと。
この姿のゆのを、オズヴェルドのところまで連れていかずにすんだことがありがたかった。