「オズヴェルド様」
昨日から様子がおかしい主人に声をかけるが、顔を上げることはない。
「レヴァノン・・・俺は・・・」
ーーーユノが、好きだ。
自覚してしまった、声には出せない想い。いずれは元の世界に帰ってしまうのだから・・・。
「我が儘になってもよろしいのでは?」
静まり返る部屋の中でレヴァノンの声が響く。
「なんのことだ?」
努めて冷静に聞くが、博識で感の良いレヴァノンのことだ。すぐに見破られてしまうだろう。
「貴方様の胸の内にいる方のことでございます」
やはり、バレてしまっている。
「俺の我が儘は、アイツの幸せに繋がってはいない」
ユノの気持ちは分からないし、いつかは帰ってしまうのだから。帰ることが、ユノの幸せのはずだから。
「昨日のユノ様のこと、何かお聞きしたのですか?」
「いや、何も」
「・・・そうですか」
「ユノが話したくなったら聞く」
それまでは無理に聞き出したりしたくない。いつも笑っている顔を見ていたいんだ・・・。
不安なことがあるなら取り除く。ユノを召喚した犯人も捕まえる。そして・・・ユノを元の世界に返す。
そして、気付いてしまったこの気持ちには、蓋をするーーー
何もしなかったら考え込んでしまう。
そう思ったオズヴェルドは、急に決まったパーティーのため準備を始めた。