「ユノ様、こちらです!」


ミーシャに付き添われて、城のある一室でドレスに囲まれるゆの。


赤、ピンク、黄色、オレンジ、黄緑、緑、水色、青、紫ーーー

たくさんの色がある。


ドレスの仕立て屋の女性が、説明してくれる。


「この国の女性は、だいたい瞳や髪の色でドレスをお決めになる場合がほとんどなのですが、ユノ様は漆黒の瞳と髪をお持ちなので、どのお色でもお似合いになると思いますよ」


どのドレスも豪華過ぎて、似合わないと思うゆの。


「ここのはサンプルとして扱いますから、お気に召さないところを直しますよ! オズヴェルド様から、オーダーメイドで作るようにと言われていますから」


悩むゆのを見たミーシャが言った。


「オズヴェルド様の隣に立ったときに似合う色にしたらどうですか?」


オズヴェルドのチョコレートのような瞳、燃えるような赤い髪を思い出すゆの。


「そうだね。でもそれなら、何色がいいかしら・・・?」

「オズヴェルド様を基準になさるのでしたら、赤かピンクがいいと思いますよ!」


そう言いながら、仕立て屋の女性は妖艶な赤のドレスと、可愛らしいピンクのドレスを持ってきた。

赤のドレスはタイトな作りで、スリットが大胆に入っている。


「待って! そんなの着こなせないよ!」


ゆのは赤のドレスを自分が着ているところを想像してぞっとした。

似合わなさすぎる、と。


「ユノ様は可愛らしい感じなので、ピンクがいいのではないですか?」


ミーシャの言葉でピンクのドレスを見てみると、淡いピンクで華美過ぎていない落ち着いたドレスだった。


「ピンクにしようかな」

「それでは、このピンクのドレスを基準に仕立てて参ります」


すんなりと決まったので、ミーシャを連れてきてよかったと思うゆのであった。