「花束は綺麗だから飾らせてもらうね」


そう言って椅子から立ち上がるゆの。

白のワンピースが窓からそよぐ風に揺れる。

ガタンッーーー


「っ!」


勢い良く立ち上がると同時に傾く身体。
床にぶつかるーーー



「ユノ!」


ぎゅっ。

ギリギリのところでオズヴェルドの腕がゆのを支えた。


「オズ、ごめんなさ」


言いながら顔を上げると、今までのどんなときよりも近くにオズヴェルドの顔があった。

オズヴェルドの左手はゆのの頭を支え、右手は腰を抱いている。

チョコレート色の瞳と漆黒の瞳が見つめ合う。


ドキドキドキドキーーー

ゆのの心臓が激しく動いている。

少し距離を詰めれは、唇が重なりそうだ。

ゆのもオズヴェルドもその場から動けないでいた。





ーーーキスしたい。

オズヴェルドは己の欲求と戦っていた。

色白の肌と可愛らしいピンクの唇が、すぐそこにある。

しかしーーー

レヴァノンとはゆのに対して側室がやるようなことは何もしないと約束している。

キスぐらい、いいのではないかーーー?

いや、待て。
そもそも何故キスがしたいんだ?


あれこれ考えているうちに、ゆのが抱きついてきた。