「話ってなんですか・・・?」
顔の赤みが落ち着いたゆのは、オズヴェルドに向き直って聞いた。
「食事をしながら話そう」
「はい」
オズヴェルドは王子なだけあって、食べ方が綺麗で品が感じられる。
レヴァノンとしっかり勉強してよかった・・・と心から思うゆのであった。
「ずっと・・・顔を出せなくて悪かったな」
「いえ、私が帰る方法を探してくれてたって聞いてましたから」
「そうか・・・。しかし、昨日も話したとおり、俺はクレア王妃がクリストフ国王の正室や側室、俺の兄弟を追いやっているのではないかと考えている。俺も足元を救われないように、あんまり大胆な行動は取れない。すまないな・・・」
眉を寄せるその表情はつらそうだ。
「私より、オズの方がつらいでしょう? その・・・お母様のことも、ご兄弟のことも・・・」
「確かに母の死は痛かった。俺もまだ子どもだったから・・・。兄弟たちはそんなに元々仲良くなかったんだ。みんな王位継承権を狙わされていたからな」
「狙わされていたって?」
「それぞれの母親に。だけど、テトだけは密かに俺と仲良くしている。クレア王妃は勿論知らないがな」
「そうなんですね・・・。テト様は、どんな人なのですか?」
「テトはとても可愛い弟だよ。あのクレア王妃の息子とは思えないぐらい」
チョコレートの瞳がキラキラしている。本当に好きなんだ、テト様のこと。
「クレア王妃のことは、表沙汰になっていない。俺の他にも勘繰っているやつはいるだろうが、相手が王妃なだけに表立って言えない」