「ユノ様、ユノ様!」
「う・・・ん・・・?」
「昨日夜更かしされたんですか? もうそろそろ起きないと、食堂に行く時間ギリギリです」
眠りの浅い夜を過ごしたゆのは、なかなか目が覚めなかった。
ーーーガチャッ
部屋に入ってきたのはオズヴェルドだった。
未だにベッドでスヤスヤと眠るゆのを優しげな瞳で見つめている。
「ミーシャ。無理して起こさなくていい。しばらくユノには体調不良のフリをしてもらうからな。しばらく食事もこの部屋で取ってもらう」
「かしこまりました」
二人の会話も、ゆのの耳には届いていない。
「俺も今日の朝食はこの部屋で取るとシェフに伝えてくれ」
「わかりました。お二人分お持ちします」
そう言うと、頭を下げてミーシャは部屋を出ていった。
昨日はクロヴァローゼ国の暗い話をしてしまった。
ユノは俺の側室となったことを後悔していないだろうか?
この世界にいることに不安を抱いていないだろうか?
独りで寂しい思いをしているかもしれない。
思えば側室にすると決めてから昨日まで一度も会っていなかった。
「配慮が足りんな、俺は・・・」
今日からゆのと過ごす時間をもっと作ろうとオズヴェルドは心に決めた。
クレア王妃にもユノを溺愛してるって伝えてもらったことだし、一緒にいる時間が全くないとおかしいしな。
心の中で言い訳じみたことを考えている自分にオズヴェルドは呆れた。