ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜


袋を除くと、真新しい下着とワンピースが入っている。

さっきまで袋はなかったはずだ。

これに着替えて・・・いいの?

ゆのの問いは声に出さず消えた。

見つけてしまったのだから、ありがたく着てしまおうと思ったのだ。

もしかしたら5分を過ぎてしまったかもしれない。

そう思いながらもゆのは急いで着替えた。


「あの、ありがとう、ございます・・・。着替え終わりました」


ドアの向こうにそっと声をかけると、わかりました、と帰って来た。

よく聞けば、聞き覚えのある声だ。


ーーーカチャッ


「参りますよ」


「あ!」


「どうかしましたか?」


「貴方、私に朝食を持ってきてくれた人じゃない?」


どこかで聞いた声だなと思い、注意してよく聞けば、今朝の朝ごはんを運んでくれた警備兵に声がよく似ていた。


「・・・そうですが」


「朝食は誰が用意してくださったの?」

「・・・城のコックです」

「このワンピース・・・と、下着・・・は?」

「・・・ミーシャ、という名のメイドに用意してもらいました」


どこか素っ気ないような話し方をするけれど、もしかしたら・・・という思いがゆのの頭をかすめた。