ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜


ーーーコンコンッ


「・・・はい?」


いきなり響いたノックの音に、ゆのは驚いた。


ーーーカチャッ


「失礼します。カルディア・キッシュ嬢の裁判で、クレア王妃様が証言台にユノ様をお呼びです」

「え?」

「皆様お待ちしていらっしゃるので、どうかお早く」

「待ってください!私何も準備してないの!」


昨夜は倒れてしまい着替えておらず、今日の朝は食事、監視カメラや盗聴器の発見などでゆのは昨夜の格好のままだった。

警備兵はじっとゆのを見つめ、溜息を吐いた。


「・・・それでは5分待ちますので、お早く」


そう言ってドアを閉めた。

5分では何もできない。
シャワーも浴びたかったが部屋にないうえ、仮にあっても間に合わない。

ゆのは下着とドレスを着替えたかったのだか、そういえば着替えの場所を聞いていなかった。


「これじゃあ、なんのために時間をもらったのか・・・」


はぁ、っと溜息をつきそうになったとき、部屋のドアノブに袋がかかっているのを発見した。