「つまり、アレン様が不治の病でいらっしゃいますから、事実上の王位継承権第1位はオズヴェルド様にあるのです」


なるほど。


「じゃあ、王位継承権第2位はテト様?」

「そのとおりでございます」

「それでクレア王妃に私を会わせたくない理由は?」

「王子様たちだけではなく、正室様や側室様も不審な死を遂げられております。今ご存命なのは、クレア王妃だけ・・・」


ということは、オズのお母様はご存命でないということ・・・?

横目でオズを見ると、チョコレート色の瞳が少し陰っていた。


「実は、オズヴェルド様も幾度も危ない目にあってこられました。しかし、類希なる才能と人望と運で乗り越えてきたのです」

「危ない目って・・・」

「毒の混入から始まり、遠征中に盗賊に襲われたり、愛馬に仕掛けをされたりと様々なことがありました」

「っ!!!」


これじゃあ、本当に呪われた王家じゃない。



あれーーー?


「テト様は、大丈夫なの?」

「オズヴェルド様がこのような危険にあっていることは、公表しておりません。テト様はおそらくはなんの危険にもあわれたことはないと推察しています」

「どうしてわかるの?」


「それはクレア王妃がテトを王位につかせたいと考えているからだ」


ずっと黙って聞いていたオズヴェルドが口を開いた。


「まあ、クレア王妃が直接そう公言しているわけではないが、ここまでくればわかるだろう?」