ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜


これから、どうしよう・・・。

オズヴェルドに対して強気でいたが、ゆのの内心は不安でいっぱいだった。

兵隊に見張られながら来賓館を後にする。どうやら城ではない別の建物に連れていかれるようだ。

夜なのに明るいと思って上を見上げると、月の明かりが目に入った。もうすぐ満月を迎えるようだ。


「こちらです」


促されてみると、綺麗な建物がそこにはあった。

外観もさることながら、オズヴェルドの最後の一言が効いたのか、捕らわれの身にしてはいい部屋が用意されていた。

ゆのに充てがわれた城の部屋に比べればけして広くはないが、清潔感がある様子だ。

もっと、監獄みたいなとこ、想像してたんだけどな・・・。


「ねぇ、私は捕らわれるのに、どうしてこんなにいい部屋なの?」

「・・・オズヴェルド様のご側室でいらっしゃいますから」


それだけでこんなにいい部屋になるのだろうか?

クレア王妃がそんなことを許すだろうか?


「・・・ここは後宮です。いくら綺麗とは言っても、ここほど監獄に近いところはありませんよ」

「え? 後宮?」


ぼそっと告げた兵隊は、ゆのの言葉に返事をすることなく部屋を出ていってしまった。