そんな穏やかな日々が続いていたある日のことーーー


「オズヴェルド様!」

「どうした? レヴァノン」


冷静沈着なレヴァノンが慌てた様子で部屋にやってきた。


「 アレン・グレスト・クロヴァローゼ様が亡くなられました」

「兄上が!?」


アレン・グレスト・クロヴァローゼ様といえば、 王位継承権第一位を持っているが、不治の病だったはずーーー


「そんな・・・」

「死因は不治の病だそうです・・・」


その不治の病がどんなものかは知らないが、クロヴァローゼ国の名医を集めて治療していたと聞いている。それなのにーーー


「・・・こんなときですが、王位継承権は・・・」


もともと仲がいいわけじゃなかったと思う。だけど、亡くなってしまったのに王位継承権の話だなんて・・・


「クレア王妃の動きに気を付けなければいけないな」

「オズ・・・」


何もできない自分がゆのは悔しかった。そっと裾を握ると、オズヴェルドは優しく微笑んでくれた。


「大丈夫だ」


私にも何かできることがあればいいのに。


「送りの儀式は今夜です。実質、王位継承権はオズヴェルド様のもの・・・。厳重な警備をします」

「送りの儀式?」

「亡くなった人をこの世から送るんだ」


つまりお葬式みたいなものか・・・。