オズヴェルドの声は全てを包み込むような優しさがあった。

トントンと背中をたたかれて、次第に落ち着いていくゆの。


「俺を・・・許してくれるか?」

「許すもなにも、オズは悪くない・・・」

「いや、俺が悪い」


落ち込んでいる様子のオズになんて声をかけていいのかわからない。ふと胸元を見ると、あの夢と同じ時計がぶら下がっている。


「時計・・・いいの?」


ゆのの視線を辿り、オズは微笑んだ。


「ユノなら上手く使える」


本当は誰とも約束を交わして欲しくないという強い独占欲がある。それを隠してオズは続けた。


「なくさないようにしろよ?」

「うん・・・。あの、オズ・・・私のせいでヒビが入った鏡をなおしたいんだけど・・・」

「なおせるのか!?」

「・・・試してみたいの」


ゆのの漆黒の瞳はどこまでも真っ直ぐで、オズはゆのに鏡を任せてみようと思った。


「ハジ、行ってくる」


それまで黙りこくっていたハジを見ると、頷いて言った。


「仕事はレヴァノンにやっとくように伝えるさ」