自室に戻ったオズヴェルドは、ゆのをベッドに寝かせた。そして首に掛かっている時計を取り出す。

本当はこんな荒療治は避けたいのたが、テトやツバルが戻ってくる前にユノを目覚めさせたかった。

時計の蓋を開けて針を掴むと、時計回りに三回まわす。


カチカチカチカチ

カチカチカチカチ

カチカチカチカチ


小型の鏡を取り出し、言葉を紡ぐ。


「時は満たされた。目覚めろ」


ゆのの時計とオズヴェルドの小型の鏡が輝く。


「やはり等身大の鏡にヒビが入ってるから威力が弱いか・・・?」


オズヴェルドは王族で、ゆのには歌の力がある。特別な者同士のアイテムは、共鳴して特別な力を生み出すーーー


そう聞いていたのだが、やはりダメか・・・!?


ーーーバンッ


「オズ!」


ノックもなしにハジが飛び込んできた。


「早かったな」

「ツバルはテト様の対応に夢中になってたから置いてきた」

「・・・そうか」


クレア王妃はテトを傷付けるつもりはない。時間はあと少しだろう。


「僕の鏡も使う?」


ハジは王族ではないが情報通だ。一般には知られていないことも知っている。オズヴェルドがゆのに今行っていることも知っているのだろう。


「文献で読んだことあるだけなんだ。本当にこんなことできるんだね」


ハジは感慨深そうだ。


「鏡を借りたいところだが、上手くいくかわからないからな。俺もこれを実践する日がくるとは思ってなかったよ」