「やっと私のものにできる・・・」


オズヴェルドからゆのを手に入れたテトは、満足そうだった。

長い廊下を足早に歩き、自室へと戻る。


ーーーカチャッ


「おかえりなさいませ。準備は整っております」


部屋のドアを開ければ、小型の鏡で指示していたとおりの準備をツバルが行ってくれていた。

白いベッドにゆのを横たえると、その首にゆのの時計をかける。

そして自分の等身大の鏡を見つめた。


「約束を交わせる・・・」


鏡の縁をなぞりながら、テトは呟く。

ゆのの意識はないため、二人の合意のもとに行われるわけではない。

それでも。手に入れたいーーー


鏡に映るゆのを見つめた。漆黒の髪も瞳も、柔らかそうな唇も、全て私のものに・・・。


「一生君を愛すると誓うよ」


そしてゆのに向き直ったテトは、『交わされる約束』の言葉を紡ぐ。


「この鏡に映る君が、いつも笑」


ここまでしか言えなかった。


「テト様!」


なぜなら、テトの鏡から手が伸びてきてテトの口を塞いだからだ。