♪『触らないで 壊れてしまう
ここにいたいのにいられない
貴方の瞳が 言葉が 心が
私を追い込む
もう・・・触らないで

触れないで 心の傷
抉るのなら 貴方もいらない
寂しいだけの夜が
私だけの空だった

煌めく鏡なんて求めていない
疑うのなら 壊れてしまえ
時計は時を』

「・・・んっ」


ゆのは歌い出したのだった。

深い悲しみと絶望が伝わってくる慟哭の歌。

聴き始めると捕らわれて動けなくなるが、オズヴェルドは必死に抗って手でゆのの口を塞いだ。


「触らないでっ」


ーーーピシッ


なんの音?

ゆのが音の聞こえた方へ目を遣ると、オズヴェルドの鏡にヒビが入っていた。

しかも複数の亀裂が見える。


「えっ!?」


思い返せば、壊れてしまえ・・・って歌ってしまった・・・ような。


「レヴァノンが考えていた特別な何かとは・・・歌だったんだな・・・くっ」


鏡のヒビのせいか苦しそうだ。


ゆのはもう二度と歌わないと決めていたのに、感情のままに歌い、オズヴェルドの鏡にヒビを入れてしまったことにゆのは動揺していた。


「違う・・・こんなの・・・あっ」


ゆのの動揺を見てとったオズヴェルドは、手刀でゆのを眠らせた。


「また歌われたら敵わない」