「時計? ・・・なんのことだ?」
一瞬動揺したようにも見えたオズヴェルドたが、落ち着いて聞き返してきた。
「すっとぼけないでよ! わかってるんだから! 私の時計返して!」
「・・・誰が時計のことを話したんだ?」
「・・・」
「誰が」
「そんなことはどうでもいいから! 早く返して!」
信頼していたオズヴェルドに疑われて、ゆのの心は不安定になっていた。
一方オズヴェルドは、何故ゆのが時計のことを知っているのか気になって仕方がない。
「誰が時計のことを話したんだ? 早く答えろ」
「嫌っ」
迫るようにして聞くと、首を振りながら後ずさりをしてオズヴェルドから離れていく。
「答えろ」
左手首を捕まえてそう凄むと、ゆのの目から涙が溢れた。
まずい、オズヴェルドがそう思ったのは既に遅かった。
ゆのは目を閉じ、口を開いた。