「私はテト様の従者です。テト様に有利に物事が動くように、ありとあらゆる情報を持っているのです」


ですから、と続けてカルディアに言い放つ。


「貴女様と同盟を結んでもなんのメリットもありません。それに、貴女様がオズヴェルド様を夢中にさせるなんて出来ないと思ってますから」

「なんですって!」


カルディアの元は美しい顔が、醜く歪む。


「クレア王妃様も貴女様にそこまで期待はしていませんよ。捨て駒程度にしか見ていません」

「そんなこと」


ない、と続けようとして遮られる。


「戯言はここまでにしてください。先程も申したとおり、私は忙しいのです」


その言葉を最後に、カルディアの横を通り、歩いていってしまった。







クレア王妃様が自分を捨て駒程度にしか見ていなかっただなんて、信じたくない。

あのとき交わした密約ーーー



"オズヴェルドの正室になったら、異世界から来た側室の娘の時計を探して持ってきなさい"



何故そんな物が必要なのかは分からなかった。

オズヴェルド様の正室となれるのなら、なんだってする。

でも、正室にはなれなかった・・・


「邪魔してやる」


カルディアの怒りは、ゆのの時計を探して壊してやることを決意させてしまった。