「しらばっくれるのね。まぁ、いいわ。テト様が、オズヴェルド様の側室の小娘にご執心だって噂、あれは本当よね?」

「・・・・・・」


肯定も否定もしない。いや、言わなくても是なのは、先日のパーティーで明らかになっている。


「私はあの小娘が邪魔なの。異世界から来て王家の側室だなんて、調子に乗りすぎだわ」

「オズヴェルド様は、ユノ様をご寵愛なさっているようですから」

「そんなのどうだっていいのよ。あんたも従者なら、主人の願いを叶えたいと思わないの?」

「いついかなる時も、最善を尽くしたいと考えております」

「それなら、私と同盟を組みなさい。私がオズヴェルド様と結ばれれば、テト様があの異世界の娘をもらえるじゃない」


暫し逡巡した後、ツバルは答えた。


「貴女様こそ、大丈夫なのですか?」

「・・・なんのことよ?」

「先日のパーティーの一件、クレア王妃様が噛んでいることを私は知っているのですよ」


今度はカルディアが黙る番だった。

確かに、オズヴェルド様の正室として公表してもらえたのは、クレア王妃と密約を交わしたから。


「それがなんだっていうの。オズヴェルド様の正室になれなかったんだから、約束を実行する必要はないわ」

「というより、実行できないのでは?」


隠そうともせずカルディアは言い放ったが、ツバルの一言で焦り始める。


この従者、どこまで知ってるの・・・?